Rain ―― 窪田ミナ

STPR017 / ¥3,000+税
ジャズならキース・ジャレットやブラッド・メルドー、クラシックならフォーレやドビュッシー......
彼らが1台のピアノから生み出すような瞑想的で奥深く、色彩的な音楽世界に惹かれるのであれば、 このアルバムはあなたの人生の新たな伴侶となるだろう。
普段は映像音楽の分野で活躍する窪田ミナが、持てる技術のすべてを注ぎ込んだ11のピアノ曲。 日常の情景に寄り添うような音楽を聴き進めるうちに、いつの間にか幽遠な世界へと迷い込んでいく。 繰り返すほどに味わい深さを増す、傑作の誕生だ。
01
Rainレイン
02
Elevenイレブン
03
Rêveレーヴ
04
Capriceカプリス
05
Flowフロー
06
amagasaアマガサ
07
Rendezvousランデブー
08
Hourglassアワーグラス
09
madoromiマドロミ
10
Twilightトワイライト
11
Skyスカイ

※ Mina Kubota / Online Shopから「Rain」をご購入の方にはスペシャルな特典がつきます
※ iTunes Store から「Rain」全曲の試聴が可能です!

Composed, Arranged and Performed by Mina Kubota
Mina Kubota played the Bösendorfer Model 290 Imperial
Concert Grand Piano #42394

Produced by Mina Kubota

Recorded and Mixed by Naoto Shibuya (PYXIE LLC)
Recorded at CRESCENTE STUDIO and Sound City SETAGAYA

01,09 on 17 March 2015, Piano Tuner : Atsushi Tomono, Assistant Engineer : Kei Izawa
02,04 on 29 March 2015, Piano Tuner : Kouki Mizushima, Assistant Engineer : Kei Izawa
06,07 on 18 April 2017, Piano Tuner : Kouki Mizushima, Assistant Engineer : Keisuke Anan
10,11 on 28 June 2017, Piano Tuner : Kouki Mizushima, Assistant Engineer : Keisuke Anan
03,05,08 on 31 May 2019, Piano Tuner : Kazumi Sasaki, Assistant Engineer : Keisuke Anan


Mixed at NESTO by Pyxie
Mastered by Wataru Ishii (ONKIO HAUS)

Executive Producer & Artist Management : Nobuyuki Oikawa (PYXIE LLC)

発売:ステップス・レコーズ
販売:ヴィヴィド・サウンド・コーポレーション





Comment

コメント

沢田 穰治

音楽家

彼女の穏やかな音の波に包まれてしまう瞬間、印象的な絵画の音世界に誘われている自分に気づきます。
それは毎日起こる奇跡によって生かされそして永遠に受け継がれるであろう生命の畏敬。そしてそれぞれが命を終え土に戻っていく定めの中で生かされていることを。
彼女の音楽の深いところにあるその本質「ものの哀れ」にふと触れてしまいます。寂しさの感情からか、喜びの感情からか、わからない感情のまま彼女の音に身を委ねていると自然と涙がこぼれ落ちてきます。
しばらくは早起きして朝靄の残る時間『Rain』を聴く日々を過ごそうと思っています。



佐藤 順一

アニメーション監督

『Rain』に納められた曲たちを聞きながら、いつしか物語における雨というものについて考えていた。雨がドラマの中で印象的に使われる事が多いのは、悲しさにも憂鬱さにも、やさしさにも情熱にも、さまざまな感情に寄り添うことができるからだろう。
そういえばピアノもそうだ。窪田さんのピアノから生まれて、耳を通して見えてくる風景は実に多彩だし、穏やかな中にも生命力を感じさえする。今、目の前にあるとるにたらない普段の風景にまで光を添えてくれるようだ。確かに雨は、そして音楽もまた生命の源なのかもしれない…そんな事を思いながらもうしばらくこのメロディに浸っていたい。



鈴木 さえ子

音楽家

彼女の作るタペストリーのように複雑に楽器や和音が絡み合ったオーケストレーションの大ファンですが、88鍵(ベーゼンドルファー290だから97鍵?)のピアノの音色だけで作り上げる窪田ミナさんの音楽は、シンプルなピアノ曲こそ一番魅力が発揮されると、今回のアルバム『Rain』を聴いて感じた。
なぜって、たった10本の指で、雨の雫の響き、霞む空気やツンと冷たい香り、水たまりにひろがる波紋、そんな景色が映像で見えてくるから凄い。
『マクロスΔ』で初めて共作した時に、リレー式で仕上げた作業場で、「こんな感じ?」とさらりと完璧なミナワールドをシンプルなピアノの一筆書きで弾き、あーだこーだと長時間悩んで作る私はその迷いのなさに驚いた。まさにアンテナにストンと落ちる感じ。
多分彼女は自然界と対話ができる選ばれた音楽家なのだと思う。羨ましい。



石川 慶

映画監督

雨の日の朝、電車の窓から外を見ると、いろんな風景が見えるじゃないですか。初々しい若いカップルから、少し気だるそうにあくびしてるサラリーマン、水たまりで遊んでる子どもたち、高架下に見える色とりどりの雨傘。
窪田さんの音楽って、そういうあたりまえの風景に潜んでいる美しさ、哀しさ、可笑しさみたいなものをすくい上げてくれる魅力があるんですよね。
そして、電車を降りるときには、清々しい『Sky』がそっと顔を出している、そんなアルバムです。



ラスマス・フェイバー

音楽家

“Mina Kubota and I have known each other for some time now, and worked together on a few occasions, and I was even lucky to perform in live project with her! But, writing this comment while listening to her album, I instantly realize that I really want to work with her more, since she is such a lovely composer, and person! The piano album “Rain” is beautiful, please check it out!!
 
窪田ミナさんとは、もう結構長い間知り合いで、何度か一緒に曲を作らせてもらったこともあるし、僕のプラチナジャズのライブにも参加してくれたことがあ
るんだ。アルバムを聴くと、作曲家として、そして人柄も素敵なことが即座にわかる。とても美しいピアノ・アルバムだよ。また一緒に曲作りしたくなったよ!



山本 むつみ

脚本家

ミナさんの音楽は、感情の奥深い所に染みこんでくる。
抑えていた思いが大きくうねって溢れ出すのが伝わってきたり、静けさの中にキラキラ輝く喜びが弾けているようだったり、包み込むように優しい曲調の中に、ふと不穏な気配を感じることもある。
劇中音楽を作っていただいた朝ドラ『ゲゲゲの女房』では、視聴者の方々が、多くのシーンを劇伴と共に記憶し、愛してくださっている。それは、ミナさんの音楽が、時として台詞よりも雄弁に、シーンの意味と登場人物の感情を物語ってくれるからだ。
ミナさんの音楽は、ドラマを連れてくる。
11曲で構成されたアルバム『Rain』は、一曲一曲が別々の世界のようでもあり、全体が一つながりのドラマのようにも思える。雨音、物思い、喜びの記憶、小さな後悔、とめどなく流れる時間、失われることのない希望……。彩り豊かな様々な感情を伴ったシーンが、音楽の中から立ち上がってくるようだ。
幾度も幾度も繰り返し聞いて、ピアノが語りかける物語に耳を傾けていたい。

Explanation

解説

小室 敬幸

音楽ライター

 音楽を映像につける試みは、トーキー以前のサイレント映画時代に遡る。映画に合わせて生演奏をおこなうのだが、ピアノやオルガンを即興演奏するような例に加え、1908年には「動物の謝肉祭」などで知られるサン=サーンスが映画音楽を作曲している。以後も多くのクラシック音楽の作曲家が自身の技術を惜しみなく、映画やドラマのために注ぎ込んできた。日本では『ゴジラ』などの特撮の音楽が有名な伊福部昭や、黒澤明監督作品に何度も携わった武満徹などが有名だろう。しかしご存知だろうか。その逆の流れ――つまりは劇伴に特化した作曲家が、コンサートやライヴのために書き下ろす行為が、音楽の歴史のなかで軽視されてきたことを……。
 たとえば、故人であればニーノ・ロータやミシェル・ルグラン、現役の大御所でいえばエンニオ・モリコーネやジョン・ウィリアムズといった映画音楽の巨匠たちは皆、クラシック音楽の専門教育を受けただけではなく、映画音楽とは別に演奏会用の音楽を数々作曲している。だが、彼らのように世界中で名を轟かせている存在であっても、そうした楽曲がコンサートやライヴのプログラムに載ることは稀である。軸足が演奏会ではなく劇伴にあるがゆえに、作品そのもので判断される前に芸術家として一段低く扱われてしまうのだ。これを不当と言わずして、なんと言おう。本職はクラシックの作曲家であると自認していたロータがこの状況を知ったら、きっと深く嘆いたに違いない。
 そして、劇伴あるいはサウンドトラックというカテゴリーは、あくまで音楽の在り方であって、スタイルではないということも評価しづらい原因を生み出している。現場で求められるどんな音楽にも対応できるように様々な音楽様式を身につけている劇伴作曲家が多いからこそ、劇伴ではない音楽を書いた時に、カテゴライズされる具体的なジャンル名を失いがちなのだ。当然、ジャンルが変われば音楽を評価する観点も変わるわけだが、どの文脈で評価されるべきかが定まらなければ、評価のされようもない。だからこそどのジャンルからも軽視されてしまい、個々人の好き嫌いでばかり判断されてきてしまったのだろう。
 前置きが長くなってしまった。窪田ミナにとって、9年ぶり3作目となる自身名義のアルバム『rain』(2020)は、前述してきたような例にずばり当てはまるような作品集だといえる――と同時に、それゆえ、これまでのアルバム以上に豊かさを感じさせ、彼女にしか描けない音世界が広がっているともいえるのだ。
 そもそも窪田は、英国王立音楽院において作曲科と商業音楽科に籍を置いていたのだが、メインの専攻は前者。19世紀までのクラシック音楽だけでなく、メシアン、ブリテン、シェーンベルクなどといった20世紀を代表する作曲家の音楽を深く学び、かのリゲティの前で自作を披露して称賛されるなど、学生時代から既に現代音楽の文脈で才覚をみせていた。その経験は、劇伴のなかに今も大きく活かされているのだという。
 劇伴やテレビ番組のテーマ曲、CMのための音楽などを核とした1作目『モーメント』(2008)と2作目『Crystal Tales』(2011)においても、部分的にそうしたサウンドを耳にすることは出来るが(「イン・ザ・ミドル・オヴ・ノーホエア」等)、窪田が得意とする現代的なリズムトラックを伴う楽曲は劇伴・サウンドトラック以外の文脈には位置付けづらいのもまた事実。素晴らしい音楽であっても、クラシック音楽的な観点からの評価は難しかった。
 それに対し『rain』は全てピアノ・ソロ。基調となるピアノの書法はクラシック音楽そのものというより、(特にクラシックの録音を数多く経験する1980年代以降の)キース・ジャレットや、ブラッド・メルドーなどといったクラシックから強い影響を受けたジャズピアニストが単独の演奏で聴かせる瞑想的な音楽に近い。ただしトラック9の「madoromi」のようにはっきりジャズとの繋がりを感じさせるハーモニーから始まる楽曲もあるが、ジャズ的なアドリブがないため、ジャズの文脈でも捉えきれるわけではない。
 ピアノの音色は、過去作『モーメント』に収録された「深縹(こきはなだ)」と聴き比べると、『rain』は全編で少し落ち着いた色調となり、より奥行きを感じさせてくれるようになった。クラシック音楽そのものではないが、クラシック的な方向により近づいているのは間違いないだろう。なかでもアルバムのなかほどに据えられた「amagasa」はラヴェルやドビュッシーといったフランスの近代音楽への共感に満ちた1曲だ。
 一方、続く「Rendezvous」でも冒頭からフランス音楽的なハーモニーではじまり、その後も主題を丁寧に展開させていく構成をとる等、クラシック音楽的な要素は多いのだが、旋律やリズムの素材にクラシック的ではない素材も含んでいる。本来なら相容れそうにない異なるスタイルの音楽が、ピアノ・ソロという形をとることによって個々のジャンル性を薄め、共存している。こうした部分にこそ、『rain』というアルバムおよび、窪田独自の魅力が溢れかえっているのだと思う。
 もちろん、そんな小難しいことを考えずに、日常のBGMとして心地よく聞き流せるアルバムでもある。タイトルからイメージを想起し、架空の劇伴として自分なりに情景を膨らませていく聴き方でもまた、豊かな時間を過ごすことが出来るだろう(なお「Eleven」は東日本大震災の頃につくられた楽曲で、「2011」「3.11」そして「9.11」と3つのイレブンを意味しているのだという)。しかし同時に、真剣に聴き込むほどやっぱり驚かされてしまうのだ。時代や国を超えた多様な音楽スタイルが彼女の血肉となった上で、たった2本の手から縦横無尽に紡がれていくということは、おいそれと出来ることではない。しかもどの曲でも常にキャッチーさを失わず、親しみやすい音楽で有り続けている。
 そのスタンスが如実にあらわれているのがアルバムのラストに控える「Sky」だ。窪田が留学以前、好んで聴いていたデヴィッド・フォスターのようなポップさが感じられ、良い意味でクライマックスを作りすぎないので、また繰り返し聴きたくなってしまう。そんなポップ・ミュージックの中毒性も兼ね備えた『rain』は、「劇伴」でも「クラシック」でも「ジャズ」でも「ポップス」のどこにもカテゴライズ出来ない音楽……なのではなく、それら全ての要素を兼ね備えているからこそ、聴き手が自分の好きな音楽に寄せて楽しむことが出来る音楽なのだ。

Artist

アーティスト

窪田ミナ

mina kubota

 福岡県生まれ。4歳から音楽教室で作曲を始め、5歳からピアノを学ぶ。10歳の時、ロストロポービッチ氏のマスタークラスを受けたのをきっかけに同氏に認められ、その頃より世界各地で演奏活動を行う。1983年には米国ワシントンD.C.のケネディーセンターでのコンサートに招かれ、ロストロポービッチ氏指揮のもと米ナショナル響と自作曲を共演。その後も国内外のオーケストラ(N響、新日本フィル、大フィル、名フィル、九響、英室内響、仏国営放送響、ベルリン放送響)とアメリカ(ニューヨーク国連総会議場含む)、イギリス、フランス、東西ドイツ、メキシコ、イスラエルで共演。
 高校卒業後、奨学生として英国王立音楽院(Royal Academy of Music)の作曲科及び、商業音楽科に入学。ニック・イングマン氏、クリス・ブラウン氏に師事し94年卒業。英国王立音楽院大学院(Royal Academy of Music, Postgraduate)に進み翌年卒業。在学中Lansdown Award (Sponsored by CTS Studios)を受賞、Eric Coats Prizeのファイナリストに選ばれる。その後英国内にてポップスからクラシックまで幅広いフィールドのアーティストの作品に参加。
 2001年より拠点を日本に移し、作曲編曲家、プロデューサーの他ピアニストとしても活躍中。数多くのテレビドラマ、映画、アニメ等の音楽を担当しており、映像音楽の代表作として、連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」、映画「葛城事件」、アニメ映画「泣きたい私は猫をかぶる」「ももへの手紙」、テレビアニメ「マクロスΔ」「ARIA」シリーズ、テレビドラマ「イノセント・デイズ」「隠蔽捜査」などが挙げられる。自身のオリジナル・アルバムとして『モーメント』(2008)、『Crystal Tales』(2011)をリリース。

Mina kubota Official Site
http://www.pyxie-llc.com/minakubota/


   

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